平屋に近い暮らしを望まれていました。

せっかくだから子供たちが家の周りを走り回れる家がいいし、ウラはウラで楽しい場所にしたいものです。親にナイショの泥団子とか宝物とかをこっそり隠して置けるようなお庭がいいなぁ。

縁の下にももぐりたいですよね。いろんな案を考えたのですが、模型にしてみて敷地に置いてみると、建築面積が大きくなる分、明らかにウラオモテのある家になりがちでした。

『じゃあ、家のまわり全部えんがわだったら楽しそう!』

大人にとっても子供たちにとっても、この1メートルほどの地面との高さの差が、いろんな想像力や使い道が生まれるきっかけになったらいいなーと考えさせて頂いたのです。

『家づくりのつぼノート』にも書いている『段の差は近くする』。

程よい段差は、大きさの違う大人と子供の関係をかえって近づけてくれますし、地面との関係もおんなじです。

差があるのに近いだなんて、とても逆説的ですがホントにそうなのです。

そして大きな家というよりも、いろんな方を向いて、天井の高さもそれぞれ違う小さなお家の集まりのような住まいになったら、平屋の単調さがなくなり、いろんな居場所が生まれて良いなと思いました。

そんな訳で、全部えんがわのような高床の家。

大人の方がすっかり子どもに戻ってしまうようなお家になりました。

外構の工事はこれからですが、植物が育つとますます楽しくなりそうです。

施工や構造については、太い杉丸太の原木(末口400φ程度)を使用した「貫工法」を採用しています。

そのスケール感と初源的な木材の扱いが、本計画にて考え続けていた「住宅地の新しい公共の風景」としての建築のあり方に通じると考えたからです。

丸太に貫を刺すための穴の加工は、林業の木こりの方が得意なのでは?という大工さんの着想でチェーンソーにて開けられました。

別途作ったサウナ小屋の曲面の梁は、山の斜面に曲がって生えていた木材です。

敷地の段差処理のために設けた石積みの擁壁も、「野積み」という工法にて素人のワークショップ形式にて2日間で作り上げました。

初源的な建築行為に立ち返って職人と共に作り上げた、ハイブリッドな木造建築です。