森をよけた住まい(飯島さんの家)
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大きな木々の隙間にできたような場所。
「森を避けた住まい」
「私たちは一目でこの場所を気に入ったんです。家の敷地と思うと小さいけど、木々をよけたこの道がアプローチ。階段のところが玄関で、家が見えたらただいまーと思えるような。街にいろーんなものを借りて、借り暮らしのような家になったら幸せだなーって思うんです。もちろん、借りっぱなしじゃなくて、家の存在が、街の人たちにも喜びを与えることができたら最高だなぁ……って!」
周辺には巨木があちらこちらに生えていて、あたかも「先に生えていた木の方がエライのだ!」というかのように、木々をよけた街が形成されていました。
反面、街とは真逆の極小の敷地。あまりに小さいので内側について考えるのをやめ、この街がはるか昔、森だった頃を想像してみました。
目には見えない巨木をよけるよう、道に面した角の面は地面を街に差し出した大きな曲面の壁。
建てられる家の大きさは、その分さらに小さくなりましたが、大きな木々のすき間の居場所のような住まいが生まれました。
その瞬間、境界線が消えたのです。
家に向かう小道から見る。
階段の隙間から、小さな小さな飯島さんの家が見えます。
でも、小さいって言っても、人間よりははるかに大きいですけどね。
曲面の壁の外側は、たくさんの植物に包まれています。
アーチの開口が、家の入り口です。
曲面の壁には、時間によって、まあるい影が落ちてきます。
ほんの少しの軒が作る影が、家に奥行きを作り出します。
家の周りには、こんな風に、「木の方がエラいのだ」と言わんばかりのユーモラスな風景があります。
そんな仲間入りをできたらと思いました。
入り口。
1階は、何と言いましょうか、、、。
玄関兼、台所兼、食堂兼、、、、。
ともかく一つしか場所がないのですから。
いつも森を通した木漏れ日が、家の中に入ってきます。
曲面の壁に挟まれた家の中は、大きな木々の隙間にいるようです。
飲み会準備。
2階。
ええと、部屋というよりも、ベッドと、バスタブと、洗濯機と、机があります、と説明した方が伝わりやすいような大きさです(笑)。
でも、ほーんと森の中にいるような、不思議な包まれ感のある2階です。
2階も、曲面の壁に挟まれた居場所です。
バスタブは、縦にしか置けませんでしたが、これがまた何とも、居心地のいい挟まれ感の入り心地。
外でお風呂に入っているような開放感があります。
すのこ状の床部分は、1階とつながっています。これも少しでも狭さを感じさせないような苦肉の策ですが、それ以上に素敵な出来事を、家に与えてくれます。
屋上にも、浴室から出入りすることができます。
とても贅沢な湯上りテラスです。
さて実は、数年前から、飯島さんはこの家を週末だけ、民泊(Airbnb)として貸す事を始められました。
初めて聞いた時、「えっ?家を貸しちゃうんですか、、、、??大丈夫ですか??」と正直驚きました。
でも、週末だけ貸す事で出会う、国内外のゲストとの素敵な交流のエピソードを聞くたびに、家族で独り占めする事だけではない、家の新しいあり方を教えていただきました。
そんなある時、飯島さんちに伺った時の事です。
小さな黒板に、毎回ゲストが、イラストやメッセージを残してくれるらしいのですが、その時描かれていたのは、とても鮮やかな羽を広げたこんな鳥の絵でした。
家が、木だとするなら、ゲストは、渡り鳥のようなものなのかも。
そして、たった一軒の小さな小さな家が、世界中の人々に愛される事もできるなんて、何と素晴らしいんだろう!と思ったのです。
そして、スクラップ&ビルドが当たり前の日本の住宅に対する考え方を、変えてくれる方法なのかもしれないなーと思いました。
これが、「月のとびら」につながるBirdプロジェクトが、始まった瞬間だったのです。
住むか、住まないか、だけではない他者を受け入れる事も含めた長い家との付き合い方。
いつまでも、「家を建ててよかったなー。」と思える方法。
建築が時を超えていく方法。
そんな訳で、飯島さんには、いまだに勉強させていただいています。
家とこの世界のあいだで。