06.03.31 幼虫系。

 
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06.03.31 幼虫系。

常々、うちのソラちゃん、何かに似てるなーと思ってたら、セミの幼虫でした。

  


ピタッと木にしがみつき、でもちょっと触れると、バタッと落ちてしまうセミの幼虫。
そういえば、僕の小学生の時の夏の楽しみは、セミの幼虫を捕まえる事。
夕暮れに公園に行くと、木の根っこからはい出したセミの幼虫が、「よーし、今晩セミになるぞ。」と、木を登っています。
それを持ち帰り、家の網戸につけて、裏から観察。
大抵は、ふ化する前に、寝ちゃって起きたら網戸に抜け殻だけついてる、というパターンでしたが、とても楽しみでした。

だから、僕が親になり、唯一、子供に見せたかったモノは、セミのふ化。
とりあえず、それだけ知ってれば、人生大丈夫。
だから、夏の夕暮れは、僕は、木の根っこばかり見ています。

さて、ソラちゃんは、まだ自分で動けません。
寝返りだけは覚えたので、たまにくるくると回転して移動しますが、彼の唯一の移動手段は、それだけ。
その他は、抱っこされてしか、移動出来ません。

その点では、まだまだセミの幼虫にもおよびません・・・。


まあ、よく考えると、こんな状態でよくも、産まれてくるもんだと、人間という生き物が不思議に思えてきます。

自分では移動すら出来ない。
言葉で意志を伝える事も出来ない。
排泄処理も出来ない。

それが、人間の最初の姿。

あきらかに、世話をしてくれる人がいる事を前提に産まれて来るという事を考えると、
人間というのは、果てしなく ずうずうしくできているものです。

でも逆にいうと、赤ちゃんと接する事は、大人が試されている機会なのでは?とも思います。


普段、僕たちは、死、というのが、そう簡単に訪れるはずがない、と思っていますし、自分が死ぬなんて想像も出来ません。
でも、命って簡単になくなってしまうモノなんだなー、というのを子供をもってつくづく思わされますし、考えます。

例えば、抱っこしているこの手を放したら?
お風呂に入れている時、そのまま沈んでしまったら?
置き去りにして、そのまま僕らがいなくなったら?
気づかずに踏んでしまったら?
夢中で遊んで、道路に飛び出したら?

大人のちょっとした不注意で、きっと、あっけないくらいに一瞬で、子供は死んでしまうと思います。
でも、疑う事を知らない子供は、死の瞬間まで、ニコニコと笑っているかも知れません。

僕は、子供を持つ事は、簡単に亡くなってしまう命をもつ事だと思います。
日々、死と隣り合わせなのだと思います。
その事を生活の中で、リアルに感じますし、でも同時に、大人がそんな事を考えている事も知らずに、ニコニコと毎日笑ってくれる
子供達をとてもいとおしく感じるのです。


さて、幼虫だったノノも今日で保育園の最終日。
4月からは小学生になります。


どうなることか、想像もできませんが、とりあえず、おめでとう。




                                               西久保毅人