06.02.08 ほかほかの家、ぽかぽかの家。

 
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小林さんの家(横浜市)外観
道路側の幅は、1.3m位の細さ。
そのおかげで、南面に広い庭を造っています。

小林さんの家(横浜市)リビング。
2階のリビングは、大屋根に包まれたワンルーム空間。
これからどんな生活がはじまるのでしょうか?


小山台の家(品川区)リビング。
壁の緑に負けない位、グリーンにあふれています。



小山台の家(品川区)リビング。
4.5mの本棚の上から太陽が差し込み、一日中ぽかぽかな空間です。
棚に飾られた本や小物もなんだかセンスがいいです。

06.0.2.08 ほかほかの家、ぽかぽかの家。


先日、小林さんの家のオープンハウスを行いました。


毎回ですが、たくさんの方にご来場いただくことができました。

非常にシンプルな生活をご希望されていた小林さん御夫婦のための家は、素材も空間もとてもシンプルです。これだけ要素を絞り込んだ家は、ニコ設計室でも初めてだったと思います。
それだけに、1つ、1つの素材の印象がとても大切で、そこへの気配りを最大限考慮した空間作りを目指しました。

将来、予定されているパン屋さん。
春になる頃植えられるシンボルツリー。
もしかしたら飼うかも??とおっしゃっていた犬っころ。
もしかしたら、近い将来、誕生するかも知れないはじめてのお子様。


とっても若い御夫婦のためのこの家では、これからたくさんの出来事が起こるでしょう。

そんな二人の始まりの家。

できたてほっかほかの、しかし暖かみのある空間を作れたと思っています。

多くは語られないけれど、とても通じ合っている事が、お二人の表情や雰囲気からとっても伝わってきた1年間の
お打ち合わせでしたし、しっかりと我々に任せて頂いている、という信頼を、1年間を通して最高に感じさせて頂いたお仕事でもありました。

そんな仲の良い、お二人の大らかさが、そのまんま、空間になったような家でした。

どんどん風格の出てくる生の素材達は、きっとどんな生活の変化も、大らかに迎え入れてくれるでしょう。

まさに「めちゃめちゃ小林さんぽいよねー。」と言えるような家になっていく事でしょう。

ちなみに、ニコのオープンハウスに一番足を運んで頂いた御夫婦でもありました。

さてさて、オープンハウスの翌日、小山台の家の雑誌取材と撮影に立ち会いました。

3月15日発売予定のLIVESという雑誌です。
そういえば、1年前、小林さん御夫婦に、初めて家の相談を正式にお受けしたのが、小山台の家のオープンハウスの日だったのです。余談ですが・・・。

この家は、ニコの歴代の名作の中でも名作中の名作(なんのこっちゃ)と個人的に思っている家ですので、
初めての雑誌取材は大変嬉しい出来事でした。
しかも、雑誌社の方から、「あの緑色のリビングをぜひ、取材させて頂きたい。」とのオファーがあったのがまたまた感激でした。なんと目の付け所のいい雑誌でしょう。

という訳で、1年後の家にお邪魔してきました。
とはいえ、ちょこちょこお邪魔していましたので、行くたんびに増えていくグリーンや大きなモミジがとても素敵で、すこしづつ設えられた小物もとてもセンス良く、
「家というのは、人が入るとどんどん良くなるモンなんだなー。」

というのをお邪魔する度に感じていましたので、とても楽しみな日でした。

冬の取材という事で、大きなモミジが葉っぱがなくて、それだけが残念でしたが、寒い日なのに、家の中はぽっかぽかで、それは、床暖房のせいだけでは絶対ない、と思いました。

オーナーのNさんも、「最初は寒かったけど、1年たったらだんだん暖かくなってきましたよ。」との事。

グリーンの壁は、相変わらず鮮やかで、
しかもそれに負けない位のおおきな植物がところどころに置かれ、
黒板塗料の壁には、期待通り、チョークで日々の落書きの跡が残り、
本棚の壁には、たくさんの本や小物が置かれ、


とても楽しんで住んで頂いているのが、家中の雰囲気から伝わってきました。

「せっかく一人で家を建てるんだから、一人でしか実現出来ないような空間にしたい。」

というNさんに最初にうかがった言葉通り、たくさんのお話しや議論を交わして完成させた家でしたが、本当にやって良かった、と思える瞬間でした。

ちょうど、取材のライターの方がインタビューの中で、
「ここ数年、真っ白くて、シンプルで、あたりさわりのないような空間の家がもてはやされていて、自分たちもそんな住宅を取材してきたけれど、本当にそれでいいのか、疑問に思ってるんです。ハコだけつくって、後は住み手が勝手にして下さい、みたいな家が多すぎるんです。建築家のブランドを買うような・・・・」とおっしゃっていました。

だから僕は、
「僕は、建築家ブランドみたいなものには全然興味がないし、それを作ろうなんて一切考えた事ないんです。むしろ自分の能力だけで見えてしまう世界なんてつまらないと思っています。本当に一人の人間が描く世界なんてたいしたことないと考えています。それよりもむしろ、住まい手ととことんつき合って、言葉や思いを引き出して、そのご家族と出会えたからこそ、うまれた答えを探していく事が、仕事としても最高にエキサイティングですし、そこで初めて、僕も、ご家族も共に見た事のない、でも求めていた家が造れるんじゃないかと、それしか興味がないんです。
設計期間と工事期間を足してもたかだか、1年くらい。でも完成後、その家は、何十年もその場にあるし、ご家族は何十年もその家に住みます。その時間を考えただけでも、完成後の何十年もの間、かっこいい家を作りたいんです。

僕の中での「かっこいい」という言葉の定義は、その人に似合う、という事です。どんなに格好いいブランドの服でも、その人に似合わなければ、全然格好良くない。そんな意味で、その人に似合う、という事が、
いかにも何々さんぽいよね、という事が、僕にとって最高にかっこいい、と思える事なんです。 」

などど、最高にかっこいい、1年後の小山台の家のぽかぽかのリビングにて、いつもに増して熱く熱弁してしまったのでありました。




おしまい。                    ニコ設計室 代表  西久保毅人