05.11.11　ゲノム幅とウナギ犬

僕が結婚した頃、夫婦でいると「親族の方ですか？」と良く聞かれました。

つまり、よく似てる、とみんな言いたかったのでしょう。
自分たちでは、あんまり思わないけれど、確かにどちらも、ソースというよりお醤油だし、人類の顔のバリエーションからすると、確かに同じ「くくり」の中であり、「キムタク」や「アユ」とは、反対側のゾーンにいると自覚しています。
二人の時は、それでもあんまり気にしていなかったのですが、ノノが生まれ、リンタロウが生まれ、「ご家族、そっくりね。」と言われるようになって、つくづく、遺伝子の幅の狭さを痛感しています。

これを、我が家では、「ゲノム幅が狭い。」と表現していまして、それは、ヒトゲノムからパクった造語です。
最近では「どうせ、ソラも同じ顔だよ。うちはゲノム幅が狭いんだしさ・・・。」と言ってますし、
「あらー、赤ちゃんどっち似かしらーーー？？」

なんて言われても、

「いやいや、ご心配にはおよばず、みんな似てますからっ、うちは。
　そうそう、狭いんです、ゲノム幅が・・・・。」

と軽くかわすレベルにまで到達、というか、あきらめに至っています。

そういえば、小さい頃、住んでいた家の近所の家族が、みんなクマのプーさんみたいで、本当にそっくりで、いつも見る度にビックリしていて、「ああは、なるまい。」と心に決めていたのですが、時すでに遅し・・・・です。

それは、それでいいんですが、話は飛んで、今度は「ウナギ犬」です。
これは、天才バカボンに登場する可愛い生き物で、なまえの通り「うなぎ」と「犬」のあいの子です。
ウナギ犬は、我が家と比べると、かなりゲノム幅の遠い、しかも陸のモノと川のモノのあいの子ですので、かなり異様な姿をしていますが、僕らは「うなぎ」も「犬」も知っているので、何となくキュートで、親しみが沸きますね。

みんながよく知りすぎていて、合わせてみようとも思わない二つを組み合わせてみた、 という素直な発想が赤塚不二夫の天才たるゆえんだと僕は思います。

それは、神話に出てくる人魚やケンタウロスも同じで、ポイントは、すごく身近でよく知っているものの組み合わせ、という事です。

実は、このお話は、僕は、住宅設計をする時によく考える事なのです。

都市住宅は、敷地も狭くて、建てられる面積も決まっています。しかし、お客さんの夢は、膨らむばかり・・・。
できれば、全部実現してみたい。でも、「はいはい、分かりました。」と少しずつ全部詰め込んでしまっては、狭っ苦しい建て売り住宅みたいになってしまうのは目に見えています。

そこで、いつもいくつかの機能を組み合わせた１つの空間を考えるのです。

そうする事で、要素は少ないけれど、１つの場所がバルコニーでもあり、玄関でもあり、リビングの延長でもあり、という家ができたり、広い玄関でもあり、ダイニングでもあり、優雅な接客スペースだったり、という空間が誕生します。

気がつくと、要望が全部かなってしまうような力をもつ１つの場所。

そんな場所が誕生するきっかけは、実はそれぞれのお客様の

「うなぎも欲しいし、犬も飼いたい、できれば、オウムも2匹ほど・・・・。」

というような一見、無理そうなご要望のおかげです。

ですので、本当にできない事も、もちろんありますが、できればたくさんの具体的なお話しを聞かせて頂いて、ご一緒にたくさんの、ウナギ犬のような空間を作っていきたいと日々思っています。


さてさて、我が家のの3匹目のウナギ犬であるソラは、今のところ、露木茂さんによく似ているので、やっと我が家のゲノム幅から飛び出す大物が産まれたか！と薄い期待はしているのですが、
人に見せると

「今度はパパ似かしら？」

と言われる今日この頃です。


別に、両親以外の人に似てると言ってくれても全然構わないのですが・・・・・・。