05.10.21 お弁当箱の宇宙。

 
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町田市U邸の現場。
エントランス周りの壁にスギの小幅板(4センチ幅)を張り巡らしています。材料は通常、下地の胴縁として使用されるものをカンナで削って使用しています。
非常に安くて、ラフな材料なのですが、腕のいい棟梁の手で仕上げられた板壁は、とても上品な仕上がりとなっています。
年末の竣工がとても楽しみです。

05.10.21 お弁当箱の宇宙。

10月の僕に与えられたセカンドミッションは、お弁当つくりです。

そう、今日は子供達の遠足なのです。

何を隠そう、これまで料理は作った事はあっても、人にお弁当を持たせる、という事はした事がありません。

しかも二人分・・・・・。

今週の初めから、保育園に行くたびに、
「お父さん、お弁当なんだけど、大丈夫???だれか作ってくれる人いないの??」と、保母さん達が、僕の顔を見るたんびに心配そうに聞いてきました。

しかも、二人預けているので、こちらも毎日二人分言われます。

「そんなに心配なら、作りましょうか?くらい言ったらどうだっ」、と思いつつ、
「今に見ておれっ」と密かに闘志を燃やし、ついに当日を迎えました。

まずは、何気なく子供達に探りを入れます。
まずは、喜んで食べてもらわないと困るので。

「遠足さー、何が楽しみーっ?」

「うーん、おべんとーっ」(くっ、お弁当かよ・・・・プレッシャー・・・)

「お弁当はさ、サンドイッチとおにぎりどっちがいい?」(とりあえず、確実に作れるものを)

「梅干しおにぎりーっ」(うちの子達は、梅干しが大好き)

「じゃあ、おかずは??ひじきとか・・・?」(今日作った残りもあるし・・・。)

「やったーっ」(という事は、和食路線。ぶり大根の残りもあるぞ。)

という訳で、お弁当箱は、おにぎりと、ひじきと、ぶり大根がメインで、つかみにミニハンバーグ
という事になりました。

さて、当日、以上を仕分けして、お弁当箱に詰めてみたところ、

「なんか地味・・・・。」

なレイアウトになりました。
いろいろ、順番を変えてみても、色合いは変わりません。
プチトマトを添えたり、自分なりに、色味を出そうとしてみましたが、何となく地味・・・・・。

起きてきたノノ達に見せたら、「おいしそーっ」と、一応お褒めの言葉を頂いたので、時間もないし、フタをして、お弁当作りは無事、終了。

しかし、「なんか地味・・・。」な第一印象が自分の中でぬぐいきれず、、、、、。

そこで、前職である象設計集団の上司だった関さんの事を、ふとを思い出しました。
仕事の上でも多大なる影響を受けた方なのですが、僕が一番感動した出来事があります。

それは、ある夜、みんなで食事をするのに、出来合いのパック詰めの巻寿司、いなり寿司とか、揚げ物とか、その他もろもろを 買ってきてくれました。
それぞれは、 ふつうのプラスチックに詰められたスーパーとかでよく見るものです。
普段は、そのまま開けて食べるのですが、何気なく関さんが、それらをお皿に盛りつけてくれました。並べるところは見ていないのですが、そのお皿に並べられた料理ののおいしそうな事。

一瞬で、パック詰めの料理が、とてもおいしそうなレイアウトに変わっていたのです。

ホントに、見た目だけの問題なのですが、その時に「やっぱ、すごいな。」とつくづく感動しました。多分、本人は、そんな事覚えてもいらっしゃらないでしょうけど、ちょっとした盛り付け方次第で、こんなにも変わるものかと、しばらくお皿を眺めていたのを覚えています。


たかだか、お弁当の話ですが、建築も基本は同じだと思うのです。
敷地(お弁当箱)は決まっていて、使える素材も、そこでしたい事も大体決まっている。
それを、それぞれのご家族の生活をイメージしてどうちりばめるか?
分量は、どうするか?
おにぎりが大きすぎて、おかずがはみ出してもいけないし、おかずの種類も多ければいい訳でもない。
自分で、味付け出来る部分もあった方がいいかも知れない。


「なんか地味な」お弁当の処女作を見つめながら、そんな事を考えた木曜の朝でした。