05.10.11 いいものは時間がかかる。

 
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町田市U邸の2階リビング(ちょっと前の様子。)

05.10.11 いいものは時間がかかる。

皆様には、大変ご心配おかけしております、
出産予定日をとっくに過ぎた西久保家です。
もう、会う人、会う人、「産まれた?」「えっ、まだなの?」とまだかまだかのまだか?コールの今日この頃。
めったに電話なんかしてこない佐賀の父親からも電話がかかってくるし、保育園では、朝晩代わる代わる「うまれたっ?」と聞かれ、今日なんかは、普段無口な大工さんまで、「どっちだった?」「いやー、まだなんですよねー。。。。。」と。

いや、もうすぐです。たぶん。
少なくとも年内には、産まれる予定です。

と、書いていると、竣工が遅れて、いつも「いや、、もうすぐなんですけどね、、、年内には、、、」とお客さんに言い訳している僕みたいでお恥ずかしいです。

とにかく、住宅も出産も、こだわった、いいものは時間が掛かるのであります。

さて、右の写真とスケッチは、現在工事中の町田市U邸です。
この敷地は、南面が崖になっていて、細長いけれど大変見晴らしがよい環境にあります。
このような敷地の場合、素直に景観にむかって「ガバッと」ひらく方法がまず考えられます
(たとえば、板橋区星邸のように) が、
今回は敷地の長さを利用した変形細長の形をとりました。
星邸の場合は、3面建物に囲まれ、開く方向が南面しかなかったのですが、この敷地でその形をとると、道路側からは、「いかにも建物の裏から入る」ような建ち方になってしまいます。
それよりも、この敷地の場合、
「道路から入ってきて、すばらしい眺めと出会うまでのプロセスも楽しむ。」という事をテーマにして計画を進めました。

また、僕らよそ者には、いい風景でも、その街に住んでいるUさん御夫婦にとっては、日常の風景でもあります。だから、その「日常の風景」を「あっ、こんな出会い方もあったんだ。」というちょっと街では出会えない形で、風景を切り取る工夫としました。
結果的に、細長い平面に、ななめの壁を2枚ずらして立てる事で、狭い内部空間の中に、風景に向かう2つの軸ができ、その軸は、建物の奥まで光を取り入れる仕掛けにもなっています。

ただいま工事は中盤を過ぎた感じですが、
30平米(9坪)という限られた建築面積の中で、奥行きがあって、かなり気持ちのよい内部空間になりそうです。

これで、9坪住宅、何件目かな?
板橋区星邸にはじまり、善福寺I邸、品川区N邸、江戸川区G邸と、5件目です。
たかが9坪、されど9坪。
住む人と、敷地の数だけ家の形があるのだなーと、いう事と、

いいものは時間がかかる(出産含む)という事が、今日のテーマでした。
皆様、しばしお待ちを。。。。