05.09.29 ピロティーのあるくらし

 
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05.09.29 ピロティーのあるくらし

フランス語でピロティーとは、建物を支える杭の事です
。(僕が調べた限りでは・・・。)

でも、一般的には、マンションのエントランスホールや駐車場として使われている柱だけで支えられた半屋外空間のことを言う事が多いです。

さて、左の写真とイラストは、現在工事中の池之端S邸の工事写真とイメージです。
敷地は、4.6MX16Mと細長いのですが、
裏に3階建の母屋があり、中庭をはさんだ道路側に、杭に持ち上げられた「はなれ」を作る計画です。

ここで何を目指しているかというと、「ホンモノのピロティーをつくる。」という事。


フランス語の語源のように、本当に地面に鉄の杭を突き刺して、それで建物を持ち上げる、という試みです。

見た目だけで言えば、このようなカッコの建物は、別に珍しくはありません。

ただ、そのほとんどが、鉄骨のであり、見えない地面の下には、コンクリートの梁があって、底板と呼ばれる厚いコンクリートが隠されています。
それは何も鉄骨のピロティーだけでなく、普通の木造の住宅の下には、びっしりとべた基礎と呼ばれるコンクリートのかたまりが地面のほとんどを覆っています。

そのような建築の現場を見たり、いくつかの住宅を設計していく中で、感じている事。

「タダでさえ小さな地面を、全てコンクリートで覆ってしまうのはイカガナモノカ?」という事。

最近たびたび起こる都市部の洪水も、都市の中に水の染みこむ地面がない、という事も大きな原因の1つだと言われていますし、そうでなくても、草の生える地面を出来るだけ多く残していきたいですし、その方が個人にとっては住環境として、街にとっては景観として素敵な風景なのでは?と
考えています。

そんな事を考えつつ、
それでは地面をいじらずに、杭を地面に突き刺しただけで家ができないだろうか?
という事を構造設計者の名和研二氏に相談して、いま実現できています。

建設行為自体がかなりの環境破壊なのだと思いますが、 このように地面をあんまりいじめずに、
建物を建てる事が出来れば、なんだかそれだけで、ハッピーな風景になるのでは?と最近考えております。


建物の形がどうのこうの、という前の、その下にある地面との建築家としての関わり方の一例

これからも、積極的に考えていきたいものです。

おしまい。

にしくぼ