04.09.29 おうちやさん


 
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建築界には、建物を「作品」と呼ぶ風潮があります。


そりゃ、作った、モノ(品)だから、間違いではないのだけれど、自分が社会に出て設計をするようになって、
特に、独立してからはさらに、「作品」という呼び方に違和感を感じてるのです。正直言って。

このカンカクがエスカレートすると、「これは、作品になる。」とか「作品になりやすい条件だねえ。」なんていう
発言になって、「うちの作品はですねえ・・・。」みたいな事になるらしいし、この業界でよく耳にする会話でもあります。



直に、お客さんの声を聞いて、打ち合わせを重ね、現場監督さんや職人さんと話し合い、時には議論して、約1年かかりで
完成する一軒の家。
もし仮に、この「家たち」が「作品」と呼べるのであれば、関わった人全てによる「共同作品」ではあるかもしれないけど、
「俺の作品」「うちの作品」では決してないと僕は思っていて、
そんな意味においてのみ、「作品」という呼び方が、僕にはしっくりくるのです。


と、どうでもいい事ですが、先日ある建築家のインタビューを読んででいて、「俺は作品がつくりたいのだ、」みたいな事を
言っているのを読んで、妙に違和感を感じてしまいました。
でも、別にその人が悪い、という訳ではなく、それはあくまで「スタンスの違い」だと思うので、そのインタビューを読んで、
ただ、「僕とは違うなー」と思っただけです。
しかし、考えてみるとこのスタンスは、昔から多かれ少なかれ、まっとーな建築家の姿勢なのかもなあ、とも思いました。



そういう意味では、実は、僕がみんなとズレているのかも?



なんて事をあれやこれや考えてしまいました。


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昨年末に作ったこのホームページも、うれしい事にもうすぐ1万カウントになります。
すごい事です。
おかげで、たくさんの方と出会って、たくさんの敷地と向き合い、その中のいくつかが、たくさんの人の協力を得て、実現しようと
しています。

というわけで、
もし僕が「あなたは誰ですか?」という質問に対して答えるとするならば、それは、「建築家」という名前ではなく、
昨年完成した、板橋区星邸の星はるのすけ君(当時4歳)が名付けてくれた、

「おうちやさん」

というのが、一番自分らしいかな、と考える今日この頃であります。
そろそろ、またはるのすけに会いにいかなくては・・・・。(04.9.29 にしくぼ)

 


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